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2015年12月24日 11時00分 JST
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Source: INSIGHTEC
インサイテック社の「ExAblate(R)」を使用しMRガイド下集束超音波による血液脳関門の非侵襲的開通に初成功

東京, 2015年12月24日 - (JCN Newswire) - インサイテック社(本社:イスラエル、ティラット・カーメル)は、この度、カナダ・トロントのサニーブルック・ヘルス・サイエンス・センターのチームが、インサイテック社のMRガイド下集束超音波治療器「ExAblate(R) Neuro(エクサブレート・ニューロ)」を使用し、悪性脳腫瘍患者の血管脳関門(けつえきのうかんもん:BBB)を、非侵襲的に、標的を絞って一時的に開通させることに初めて成功したことをお知らせします。これにより悪性脳腫瘍に対する化学療法をより効果的に送達できるようになります。

この新たな療法は、脳神経外科医Todd Mainprize医師と物理学者Kullervo Hynynen博士の主導の下、カナダ・トロントのサニーブルック・ヘルス・サイエンス・センター(Sunnybrook Health Sciences Centre)のチームにより実施されました。この治療では、まず化学療法薬ドキソルビシンを、ガスを充填した微小な泡とともに、脳腫瘍患者の血流に注入し、その後、腫瘍領域とその周辺の脳に集束超音波を当てて、泡を振動させ、血液脳関門を構成する細胞の密着結合を緩め、高濃度の化学療法が標的組織に入り込めるようにしました。

Mainprize博士は、「血液脳関門は、腫瘍の治療を行うために効果的な治療薬を送達する際の大きな障害となっています。今回の治療で、この関門を開通させて、化学療法を直接脳に送達できたことは画期的であると考えており、この革新的療法の適用機会が更に増大することを期待しています」と述べています。

この治療は、化学療法を脳腫瘍に送達するために、集束超音波によって血液脳関門を一時的に開通させることの実現可能性、安全性および予備的有効性の確立を目的とした試験的臨床研究の一環であり、患者10名を対象に実施されています。現在、集束超音波治療財団(Focused Ultrasound Foundation)の脳研究向けコーネリア・フラッグ・ケラー記念基金(Cornelia Flagg Keller Memorial Fund for Brain Research)がこの臨床研究に資金的支援を行っています。

集束超音波治療財団の会長であるNeal Kassell医師は、「この関門を破ることで、脳疾患治療における新たな領域が開かれます。多くの脳疾患に対し、治療薬を非侵襲的に送達するために、集束超音波が使用される契機となることに大いに期待しています」と述べています。

局所的に血液脳関門を開通させ、化学療法を腫瘍に送達することは、脳腫瘍、パーキンソン病、アルツハイマー病、一部の精神疾患など、広範な神経学的疾患の治療に向け、他の薬剤、DNAナノ粒子、ウイルスベクター、抗体を脳に送達するために集束超音波が活用出来ることを意味します。

この試験的治療には、インサイテック社の「エクサブレート・ニューロ(ExAblate(R) Neuro)」が使用されており、同社研究開発部門バイスプレジデントでニューロプログラムのディレクターであるEyal Zadicarioは、「今回患者に対する治療が初めて成功した事は、今後多くの臨床適用につながる可能性を示唆し、まさに技術的躍進です」と述べています。

今回の試験的治療は、患者に対しては初の成果となりますが、サニーブルック研究所のシニアサイエンティストであるKullervo Hynynen博士は、類似した前臨床試験を約10年間実施しています。Hynynen博士の研究では、集束超音波とマイクロバブルの組み合わせによって、薬剤送達が可能になるだけでなく、疾患と戦うための脳の自然反応が刺激される可能性が示されています。例えば、血液脳関門の一時的開通によって、アルツハイマー病に関連する主要な病的タンパク質の脳による除去が促進され、認知機能を改善するとみられています。

また、オーストラリアにあるクイーンズランド脳科学研究所(Queensland Brain Institute)のGerhard LeinengaとJurgen Gotzによる最近の研究も、Hynynen博士の研究を裏付けています。この研究では、アルツハイマー病のマウスモデルで、集束超音波による血液脳関門の開通によって、脳のプラークが減少し、記憶が改善したことが実証されました。

上記の2件の前臨床試験を踏まえ、集束超音波を使用してアルツハイマー病の治療を行う臨床試験が計画されています。

■血液脳関門について

血液脳関門(BBB)は、脳血管を覆う、密着結合した細胞の保護層であり、毒素や感染因子などの有害物質が周辺組織に入らないようにしています。しかし、同時にBBBは、特定の薬剤が適切な濃度で脳内の標的に到達することも妨げてしまいます。治療濃度の薬剤を送達するために、明確に定められた領域において安全に、一時的にBBBを開通することは、脳腫瘍、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかんなど、幅広い神経学的疾患の治療における念願の目標となっています。

現在、血液脳関門を回避して薬剤を送達するには、限られた選択肢しかありません。薬剤を直接脳に注射することもできますが、針やカテーテルによる出血、感染、正常な脳組織の損傷のリスクがあります。またBBBを破るために、マンニトールという薬剤が血中に注射されることもありますが、この方法はコントロール不能で非選択的であり、さらに血圧や体液バランスに重大な作用を伴う可能性もあります。

■MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)について

MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)とは、集束超音波とMRIの2つの技術を組み合わせた画期的な治療法です。虫眼鏡で光を一点に集めるのと同様に、エクサブレートを使って体外から集束超音波を照射して標的組織を治療します。個々の超音波が組織を貫通しても、効果はありません。しかし、焦点では、集束超音波エネルギーの複数のビームが集まることによって、組織の性質と超音波のパラメータごとに、重要な生物学的効果が多く生じます。 現在、MRガイド下集束超音波には既知の機序が18あり、この中には、血管脳関門の破壊などの薬剤送達法がいくつか含まれています。 現在、MRガイド下集束超音波治療は、子宮筋腫の治療、前立腺組織の焼灼、骨転移による疼痛緩和のために、米国で承認されています。また、パーキンソン病、本態性振戦、乳がん、肝臓がん、高血圧など様々な臨床適用に向けた研究開発が世界中で実施され、その数は増加を続けています。

■インサイテック(InSightec)について

インサイテック(InSightec Ltd).は、MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)のパイオニアとして、この画期的な治療法の普及に努めています。1999年にGEヘルスケア(当時GEメディカルシステムズ)とエルビット・メディカル・イメージングの合資会社として設立され、MRガイド下集束超音波治療器「エクサブレート(ExAblate(R))」の開発や様々な臨床への応用を進めてきました。現在までに、研究開発に約2億ドルを投資し、追加申請中のものを含め90以上の特許を取得しています。イスラエルの港町ハイファの近くにあるティラット・カーメルに本社を置き、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーとテキサス州ダラス、ヨーロッパ、アジアに支社を構えています。

■集束超音波治療財団(Focused Ultrasound Foundation)について

集束超音波治療財団(Focused Ultrasound Foundation、本拠地:米国バージニア州)は、集束超音波治療の発展を通じ、世界の数百万人の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上することを目指し創設されました。2006年の設立以来、集束超音波研究に対する民間最大の資金提供源となっています。詳細は www.fusfoundation.org をご覧ください。

(この報道資料は11月9日に集束超音波治療財団(米国)から配信されたプレスリリースの抄訳です。)

【報道機関からのお問い合わせ先】
広報代理: クレアブ・ギャビン・アンダーソン株式会社 今井・渡辺・寒田
電話: 03-5404-0640
Email: InSightec@kreab.com

トピック: Press release summary
Source: INSIGHTEC

セクター: BioTech
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